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名護・自然観察日記

名護で出会った生きものを中心に紹介します。

名護岳の梅雨

190605オキナワヘリグロツユムシ
                                        ノボタンの雄しべを食べるオキナワヘリグロツユムシ
沖縄の梅雨のこの時期はノボタンの開花の季節です。
林道を歩くとノボタンの花の上で花弁や雄しべを食べるモリバッタはよく見かけますが、
この日はオキナワヘリグロツユムシが雄しべを食べていました。




190613糞

この季節は世界でもやんばるのみに自生するコバノミヤマノボタンが開花する時期でもあります。
そこで名護岳の自生地を見に行こうと林道を歩いていると、地面に鳥の糞が沢山落ちていました。

上を見上げると樹上にリュウキュウハシブトガラスの巣が!



190613リュウキュウハシブトガラス巣

しばらくすると親鳥が近くに現れ、私が巣の下から20m以上離れるまでの間、
頭上の枝に止まっては鳴きながら威嚇していました。

林道の上に巣を作ったのはカラスの方だというのに・・・。



1906012コバノミヤマノボタン2
                                                      コバノミヤマノボタン
お目当のコバノミヤマノボタンもしっかり咲いていました。






1906012コバノミヤマノボタン1
                                                      コバノミヤマノボタン
比較的明るい場所を好むノボタンとは対照的に、
コバノミヤマノボタンはあまり日が差し込まない場所を好むようです。

帰り道は再びカラスの巣の下を通らなければならず、
今度は警戒するカラスに樹上から小枝まで落とされました・・・。


190607マメホコリ1
                                                    マメホコリの未熟な子実体
このところ粘菌の観察にすっかりハマり、再び観察場所を訪れると
綺麗なマメホコリの未熟な子実体を見つけました。





1906012マメホコリ1
                                                    マメホコリの未熟な子実体







1906012マメホコリ3
                                                    マメホコリの未熟な子実体







1906013マメホコリ1
                                                    マメホコリの未熟な子実体
ちっちゃなミカンみたいで可愛いです。






1906012キノボリトカゲ
                                                     オキナワキノボリトカゲ
集中して粘菌を撮影していると、目と鼻の先でキノボリトカゲが虫を捕まえ食事中でした。






1906012エダナシツノホコリ1
                              エダナシツノホコリの子実体







1906013エダナシツノホコリ1
                           エダナシツノホコリの未熟な子実体
このエダナシツノホコリはとても綺麗でした。
ちなみにまだ味見はしていません。





1906013エダナシツノホコリ2
                           エダナシツノホコリの未熟な子実体
粘菌は刻々と状態が変わるので、頻繁に足を運びたいところですが、
今年の梅雨は珍しく雨ばかりで、なかなか足が運べません。





1906016ルリモンホソバ幼虫1
                                                      ルリモンホソバの幼虫
この季節は風に揺れるルリモンホソバの幼虫も目につきます。






1906012ギョクシンンカの花びら
                                                      ギョクシンカの花びら







1906016オキナワルリチラシ幼虫1
                                                    オキナワルリチラシの幼虫
粘菌の撮影を終えて戻る途中にこれまた可愛い幼虫を発見しました。
まるでナウシカに出てくる王蟲のちっちゃい版のようです!
名前がわからなかったのでFBで問い合わせたところ、オキナワルリチラシの幼虫だと教えていただきました。

毎年観察しているオキナワルリチラシの幼虫がこれほど可愛いとは知りませんでした。
確かに成虫の腹のぷよぷよした感じが幼虫にもありますね。

ちなみに食草はヒサカキやヤブツバキだそうです。


1906016リュウキュウルリモントンボ
                                                   リュウキュウルリモントンボ
帰りにイボイモリの幼生がいる沢に寄りましたが、今年は雨が続いたため沢の水量も多く、
黒く成長した幼生が確認できるものの、水流で水面が揺れ撮影はできませんんでした。

代わりにリュウキュウルリモントンボが被写体になってくれました。







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  1. 2019/06/22(土) 12:26:03|
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名護岳の粘菌

190504粘菌1
                                                    ツノホコリの未熟な子実体
ちょうど一年前の梅雨の頃、名護岳を散策中、足元に驚くほど可愛らしく綺麗な粘菌を発見したので、(→画像はこちら
今年も湿っぽいこの時期に合わせて、粘菌を探してみました。

早速切り倒された樹木の切断面に、ムーミンに出てくるニョロニョロのような粘菌を見つけました。
半透明で「とぅるん」としていて美味しそうでしたが、味見はしませんでした。


1905015粘菌2
                                                       ツノホコリの子実体
私は粘菌についてはど素人なので、名前を調べようとググったところ、
エダナシツノホコリとわかりました。





190504粘菌2
                                                    マメホコリの未熟な子実体
他にも鮮やかなオレンジ色で球形のもの、
ちょうど昨年見つけたピンクの粘菌と形状は同じで、こちらもググると
「マメホコリ」という種類であることがわかりました。




190504粘菌3
                                                    マメホコリの未熟な子実体







1905015粘菌1
                                                    マメホコリの未熟な子実体







1905012粘菌5
                                                    マメホコリの未熟な子実体
こちらもマメホコリだと思いますが、色が薄紫系でした。
その後オレンジ色に変化するでもなく、割れて胞子を飛ばした後は茶色くくすみました。

発見場所はオレンジ色のものと1m程しか離れておらず、この色の変異の原因は何なのか?
ちなみに、発見場所はオレンジ色のものが倒木の上、薄紫色のものは生きた樹木の根の表面でした。



1905012粘菌6
                                                    マメホコリの未熟な子実体







1905012粘菌7
                                                    マメホコリの未熟な子実体







1905013粘菌6
                                                    マメホコリの未熟な子実体







1905012粘菌1
                                                  タマツノホコリの未熟な子実体
こちらはタマツノホコリの子実体です。
白い紙でできたボンボンの様にも見えます。





1905013粘菌5
                                                  タマツノホコリの未熟な子実体







1905012粘菌8
                                                  タマツノホコリの未熟な子実体







1905013粘菌8
                                タマツノホコリの子実体







1905013粘菌2
                                                       キフシススホコリ?
こちらは似た様な種が多いので間違っているかもしれませんが、キフシススホコリでしょうか?
変形体なのか子実体なのかもいまいちわかりませんが、





1905013粘菌3
                                                       キフシススホコリ?







1905013粘菌7

最後に、これは何でしょう?
粘菌が生育しそうな環境で見つけましたが、粘菌ではなさそうですね。





1905013粘菌4

ご存知の方は、是非教えてください。
よろしくお願いします。





  1. 2019/06/01(土) 17:16:22|
  2. 粘菌
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アカメガシワの開花のころ

190327オキナワルリチラシ2
                                              オキナワルリチラシとセイヨウミツバチ
ここ名護では、3月の末からオキナワルリチラシが頻繁に飛び始めます。
それはちょうど、アカメガシワの蕾が膨らみはじめる頃です。





190409オキナワルリチラシ2
                                  オキナワルリチラシ
そして花が咲きはじめると、その数はピークを迎え、アカメガシワの花には
吸蜜に訪れたオキナワルリチラシの姿があちこちで確認できるようになります。





190422オキナワルリチラシ
                                                       オキナワルリチラシ
オキナワルリチラシの胸や腹のビビッドな配色や触覚の形状、
そしt意外と凛々しい顔つきが好きです。





190409アオヒメハナムグリ1
                                                       アオヒメハナムグリ
アカメガシワの花には、他にもたくさんの虫たちが蜜を求めて集まります。






190409オキナワトラフハナムグリ2
                                                    オキナワトラフハナムグリ
この日は珍しく、オキナワトラフハナムグリも数個体吸蜜にきていました。






190409オキナワトラフハナムグリ1
                                                    オキナワトラフハナムグリ







190409オキナワトラフハナムグリ3
                                                    オキナワトラフハナムグリ







190418ツマグロヒョウモンオス2
                               ツマグロヒョウモン オス







190418ツマグロヒョウモンオス
                                                    ツマグロヒョウモン オス







190418アサギマダラ
                                                          アサギマダラ
北上中のアサギマダラも食事に立ち寄ります。






190419アマミアオジョウカイ11
                                                      アマミアオジョウカイ
タカの観察中に煩わしいくらいまとわりつくアマミオアジョウカイですが、
花が咲きはじめると、花の方に引き寄せられるのか、煩わしさからやっと解放されました。




190419アマミアオジョウカイ22
                                                      アマミアオジョウカイ







190422ダイトウクダマキモドキ
                                                  ダイトウクダマキモドキ 幼虫
アカメガシワの葉の上にダイトウクダマキモドキの幼虫がいました。
胸元の赤いダニのブローチがおしゃれ?






190426ルリモンホソバ1
                                    ルリモンホソバ
こちらは全身が青と黄色の反対色も鮮やかなルリモンホソバ。






190426ルリモンホソバ2
                                    ルリモンホソバ
派手な割には、あまり姿を見かけないところを見ると、
比較的稀な蛾のようです。





  1. 2019/05/03(金) 20:10:00|
  2. ルリモンホソバ
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沖縄のジュゴン 存亡の危機  −ジュゴンを守る緊急院内集会と政府交渉−

190417院内集会4

去る4月16日、北限のジュゴン調査チーム・ザン、ジュゴンネットワーク沖縄、日本自然保護協会共催の、
ジュゴンを守る緊急院内集会と政府交渉を衆議院第二議員会館で行った。

今回の行動は、2015年から行方不明となったジュゴン個体Cに続き、
2018年秋には名護市東海岸で20年間続いたジュゴンの食み跡の確認が途絶え、
その海域を餌場としていたと考えられる個体Aが行方不明となり、
加えて、先月3月18日に個体Bが死体となって確認され、
日本のジュゴンの危機的状況がさらに増したとと考えたからである。


190417院内集会1

院内集会では、減少する沖縄のジュゴンの歴史やジュゴンのストランディング記録につて解説し、
絶滅回避には、混獲防止や生息地を守る法律の適用が不可欠であること、
また、保護区などに関する法令について説明した。




190417院内集会3

院内集会に続いて環境省と防衛省と面談し、予め準備した質問に対して回答を頂き、
私は現在進められている辺野古新基地建設工事が、2頭のジュゴンを彼らの生息域から追い出したことを中心に追求した。

今回、環境省、防衛省ともお役所対応という姿勢で終始したが、重要な指摘はできたと考えている。

ジュゴンの状況と、その指摘内容は次の通りである。


ジュゴン確認状況_1

2007年から辺野古新基地建設に伴う環境影響評価の調査が沖縄島の主に中北部海域で実施され、
3頭のジュゴンが確認された(沖縄防衛局2009)。

この3頭は個体A、B、Cと識別され、個体Aは名護市東海岸で確認されたオス、個体B、Cは母子と考えられ、
古宇利島沖を拠点に東海岸まで移動していた。その後個体Cは2009年頃から単独で行動するようになり、
親離れしたと考えられ(沖縄防衛局2011)、辺野古に隣接する大浦湾にしばしば姿を見せた。


大浦湾食み跡ポイント

● 個体Cの生息範囲の変化

同じ時期(2009〜2015年)大浦湾では沖縄防衛局の調査で49本、私たち市民グループの調査で238本(累計)の
ジュゴンの食み跡が確認された(細川2018)。大浦湾で確認された食み跡について沖縄防衛局は評価書(6-16-172)
の中で「個体Cによるものと考えられます」と、個体Cが大浦湾を餌場として利用していたことを認めていた。

しかし、2014年8月から沖縄防衛局は、辺野古・大浦湾に基地建設のための海上作業に着手し、多数の警戒船を航行させ、
数十トン規模のコンクリートブロックを投入し、立入制限を示すブイを設置し、ボーリング調査を実施した。
その後2015年4月を最後に大浦湾では食み跡の確認は無くなり、個体Cも同年6月に古宇利島沖で確認されたのを最後に
行方不明なった。


H30no19Siryo05-11-11.jpg

沖縄防衛局は平成29年度事後調査報告書の中で工事が個体Cの生息域に与えた影響について次のように記している。
「個体Cは古宇利島沖から辺野古沖までの間を行き来するなど非常に広範囲で確認されているが、事業実施区域は
主たる生息域とは言えないと考えていることから、工事が個体Cの主たる生息域に影響したとは考えていない。」

しかし、同局は個体Cが親離れをする前の行動範囲を含め「主たる生息域」としていたのである。少なくとも親離れをした
2009年5月から大浦湾で工事が着手された翌月の2014年9月までの5年4ヶ月間は、確認数17回のうちの15回、率にして
およそ88.2%を大浦湾・嘉陽海域で確認されており、この5年4ヶ月間は、個体Cが確認された期間の中で最も長期に渡り
確認場所が安定していた時期であった。


個体C生息場所の変遷1

また、沖縄防衛局は「〜餌場の利用状況を踏まえると、〜事業実施区域は主たる生息域とは言えない」と示している点も
事業者に都合の良い希望的観測を述べているに過ぎない。

同局は評価書の中で「平成21年度には、大浦湾西部の辺野古地区及び大浦湾奥部において、個体Cによるものと考えられる
食み跡が確認されました。」と記している通り、個体Cが辺野古・大浦湾を餌場として利用していたことは客観的な事実である。

一方で「〜嘉陽地区においても食跡数が増加しており、個体Cによるものであると推測されます。」と記しているが、
同局が行なっている調査方法では、食み跡の正確な増減は不明であるため、食み跡の本数を根拠に個体Cが嘉陽地先で
採餌していたと推測するには無理がある。

何故ならば、ジュゴンの食み跡の長さは、最大で20倍以上の差異があり、また一箇所を集中的に摂餌し、
本数が判別できない密集状態の食み跡も存在するからだ。食み跡の増減を示す目的で調査するのであれば、
食み跡は本数ではなく、密集域を含む面積を記録し、より定量的なデータを取る必要があると私は考える。

個体Cが親離れした後に、その姿を確認した場所、その姿を確認した時期、
また食み跡を確認した場所、食み跡が確認された時期などの調査データを定量的に判断すれば、
個体Cの主たる生息域は大浦湾・嘉陽海域であったとの結論が導き出され、同じ時期の工事の内容と照らし合わせれば、
工事の影響によって個体Cの生息範囲に変化が生じたと考えるのが自然である

辺野古新基地建設事業では、工事による環境への影響を監視する目的で環境監視等委員会が設置されているが、
個体Cが親離れする前の行動範囲を含め「主たる生息域」としている点や、定性的な食み跡の記録でその増減を語るなど、
不適切な調査や判断がなされた状況を見ると、同委員会に適切な専門家が配置されているか疑わしいと言わざるを得ない。


個体Aの生息範囲

● 個体Aの生息範囲の変化

個体Aは個体識別された2004年11月には既に成獣だったことや、私たちが嘉陽で調査を開始した1998年には、
同海域では既に食み跡が確認されていたことから、定着性が強い個体Aが嘉陽地先を拠点に生息していたのは、
少なくとも20年前の1998年以前からと推測される。

沖縄防衛局はアセス準備書の中で、個体Aは「環境省による平成15年11月以降の調査においても同海域にて確認されており、
嘉陽沖を中心とした安部崎からバン崎にかけての沖合5kmの限られた範囲内に定着している」と定着性を強調し、
それを裏付けるように、環境省は7回、沖縄防衛局は204回、個体Aを嘉陽沖の限られた範囲内で確認していた。

ところが、2015年(平成27年)頃から、この定着性が強く限られた範囲でのみ確認されていた個体Aの生息範囲に変化が現れた。
下の図は沖縄防衛局が公表した個体Aの確認位置を示した図を改変したものだが、シュワブ(H26)水域生物等調査報告書(左側)
の個体Aの行動範囲を見ると、2015年に実施された調査では同個体が大浦湾の湾口に姿を見せなくなったことが示されていた。

この平成26年度に同局は、大浦湾に多数の警戒船を航行させ、数10トン規模のコンクリートブロックを投入し、
立ち入り制限を示すブイを設置し、ボーリング調査を実施したのである。その結果それまで静寂だった大浦湾は一変し、
個体Cは大浦湾から姿を消すわけだが、個体Aもまた騒々しい大浦湾には近づくことができなくなったことが、
この図から読み取ることができる。

また、シュワブ(H27)水域生物等調査報告書(右側)の個体Aの行動範囲を見ると、2016年1月から2018年1月に実施された
調査では、それまで確認がなかった東南の海域まで行動範囲が広がり、行動の軌跡が分散していたことが示されていた。

沖縄防衛局は、2019年1月に実施した第8回環境監視等委員会・資料4の中で、この時期に辺野古・大浦湾で行われていた
工事について、「ジュゴンに影響を及ぼす可能性が考えられる水中音や振動を発する工事は平成29年(2017年)11月〜
平成30年(2018)8月の期間がピークであったものと推察される」と記している。つまり、ジュゴンに影響を及ぼす可能性が
考えられる水中音や振動を発する工事が行われた時期に、個体Aの生息範囲に変化が現れていたのである。


20181107 防衛省提出資料 シュワブ(H27) のコピー

過去に記録がない南東のエリアまで行動範囲を広げた背景は、個体Aが騒音と振動の発生源であった辺野古崎から
できるだけ逃れようと行動したものと私は推測する。
個体Cのように別の海域に避難しなかったのは、個体Aの行動の特徴である「定着性」が強かったためではないだろうか。
同海域に長年暮らし定着性の強い個体Aは、日中は騒々しい辺野古崎からできるだけ遠ざかり、夜間に工事の影響がおさまると、
彼の餌場であった嘉陽地先に戻り採餌する行動を繰り返していたのではないだろうか。
私はこの図から、個体Aの行動の意味をこのように解釈した。

私の解釈は推測の域を出ないが、個体Aの生息範囲が変化した時期に、ジュゴンに影響を及ぼす可能性が考えられる
水中音や振動を発する工事が行われたことは事実である。

その後、個体Aは2018年9月に確認されたのを最後に行方不明となり、同個体の新しい食み跡も10月以降確認されなくなった。

沖縄防衛局は個体Aが行方不明となった事態について、騒音や振動がピークだった時期においても、
その姿が確認されていたことを根拠に、工事が与えた影響について否定した。確かに騒音や振動がピークだった
時期においても、個体Aの姿は確認されていたが、その確認場所は辺野古崎からより離れた場所に移動していたのである。
また、工事による騒音や振動がピークだった時期に、個体Aのストレスの限界点が訪れるとは限らず、
個体Aが感じていたストレスの限界を迎えた時が、2018年の10月頃だったのだと推察される。


●  防衛省、環境省交渉
このように、沖縄防衛局は辺野古新基地建設工事によって、個体Cに続いて個体Aの生息範囲にも変化を与え、
その後2頭のジュゴンは行方不明となった。

辺野古アセスの環境保全図書では、「工事の実施後は、ジュゴンのその生息範囲に変化が見られないか監視し、
変化が見られた場合は工事との関連性を検討し、工事による影響と判断された場合は速やかに施工方法の見直し等を
行うなどの対策を講じます」と記載されている。説明の通り工事による影響は明らかであると考えられることから、
沖縄防衛局は個体A及び個体Cが元の生息範囲に戻るための対策を講じる義務があり、不実施は違法であると私は考えた。

そこで今回3団体による政府交渉を行い、その中で防衛省と環境省に対して当該事業がジュゴンに与えた影響について、
その認識について質問した。

これに対して防衛省は、ジュゴンへの影響については環境監視等委員会から助言を仰ぎ、適切に対処しているとの
一点張りであった。工事による影響が科学的に検証されてこなかったことは、個体Aや個体Cが彼らの生息範囲から追い出され、
行方不明となった結果を見れば明らかであり、環境監視等委員会が機能不全に陥っていることを示しているが、沖縄防衛局は
その環境監視等委員会の名を借りて、辺野古基地建設工事を進めているのだ。ちなみにこの環境監視等委員会の委員には、
本事業の建設工事や委託業務を受注する業者から、過去に寄付を受けていた人物が含まれている。そこで今回の交渉では、
同委員会とは別に第三者の専門家による検証を求めたが、これも拒否された。

一方、3月に死亡が確認された個体Bの死因との関連を調べるための、工事に関連する船舶の航行ルート記録の開示など、
約束を取り付けることができたものもあった。

環境省に対しても、当該事業がジュゴンに与えた影響について、その認識を質問したが、この事案が法律上事業者主体で
必要な対策を行うものであることを理由に、「我関せず」というスタンスをとった。


H30_MOE_ dugong_report-9

環境省は今回面談した4月16日に合わせて、自らに向けられた批判の矛先を逸らす意図があったのか、
ジュゴンに関する発表を行い、昨年8月に親子2頭のジュゴンが波照間島沖で目撃されたことなどの情報を発表した。

今回の環境省の発表は、ジュゴンはまだまだ絶滅しないことを告げ、私たちに希望を与えてくれた。
しかし、環境省は2004年の時点でジュゴンが種の保存法の国内希少野生動植物種選定要件に該当すると認めながら、
ジュゴンの存亡に関わる混獲防止や生息地を守るための手立てを行わないまま、15年が過ぎたことも事実である。

車座会議やジュゴンレスキューなど、ジュゴンと地域社会との共生に関する取り組みについては、一定の評価はしたい。
しかし、ジュゴンレスキューはジュゴンが生きたまま混獲された場合には効果が期待できるが、
そもそも、ジュゴンの減少要因である混獲死亡事故を防ぐ効果は無い。

昨年8月に波照間島で親子2頭のジュゴンが確認されたことは、「まさに今、抜本的な保護対策を取らなければ、
私たちジュゴンは絶滅する」とのメッセージとして、環境省には受け止めて頂きたい。

沖縄防衛局がジュゴンに対して行ってきたことは「いじめ」以外の何ものでもない。
一般的にいじめを傍観するものは「同罪」と見なされるが、この状況を傍観し続ける環境省は「同罪」以上に
罪が重いと私は言いたい。当該事業が環境影響評価法改正前の事案であるため、法的権限が及ばないとはいえ、
これらのジュゴンは沖縄防衛局が確認する以前から環境省が確認していた個体であり、
日本のジュゴンの危機的状況を最も把握していた役所だからである。

環境省は、ここで動かなければあなたたちの傍観の姿勢によって「日本のジュゴンは絶滅した」という、
日本の環境行政の歴史において、大きな汚点を残すことは間違い無いだろう。





  1. 2019/04/24(水) 11:33:56|
  2. ジュゴンの海
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名護博物館 常設展示一般公開最後の日

190331名護博物館1

3月31日。
新館準備のため常設展示一般公開はこの日が最後ということで、名護博物館にお邪魔しました。
なお名護博物館について書き出すと何日もかかってしまうので、今回はさらっと流します。

名護博物館は、1981年に名護市庁舎が竣工し、役目を終えた旧名護町役場を
リノベーションして作られた博物館で、建物は今年で築60年になります。

デザイン事務所方圓館が設計し、名護市民と一緒に作り上げました。


190331名護博物館3

常設展示室に入ると、迫力あるアグーが出迎えます。
現在ではすっかり有名になったアグーですが、1980年代には絶滅しかけていました。
その在来家畜のアグーを初代博物館館長であった島袋正敏さんたちが調査し、集められ、
戻し交配などを行なった結果、現在のように誰もが口にできるまで数を増やすことができたのです。

ちなみに、博物館では短期間でしたが、このアグーも外階段の下で飼育していました。


190331名護博物館2

一階の常設展示は見事の一言に尽きます。
やんばるの庶民の暮らしが「体感」でき、いつ見ても感動します。





190331名護博物館5

今回、展示室の一角に博物館にゆかりの深い写真が飾られていました。
このパネルの下の写真には、工事中に打ち合わせで机を囲む正敏さんとその正面に座る、
設計者である坂本和正さんの背中が見えます。

その坂本さんは残念ながら昨年他界されました。


190331名護博物館4

かつて沖縄の比較的裕福な家では、敷地内で豚が飼育され、人間の排泄物が彼らの餌となり、畑の肥やしとなり、
命の循環が当たり前のように行われていたことも、ここではしっかり展示されています。





190331名護博物館6

工事中の写真と、竣工時の写真も飾られていました。
今ではやんばるにも複数の資料館が存在しますが、その先駆けとなったのが名護博物館でした。





190331名護博物館7

二階に上がると、ここにも懐かし写真が展示され、私のことにも少し触れていました。






190331名護博物館9

この亀甲墓の断面模型は、たしか1994年に制作したと記憶しています。
この時は市内の亀甲墓を学芸員と共に訪れ、実測し、それを元に作りました。

他にも各所遺跡にも足を運びました。



190331名護博物館8

開館当初は図書資料室だった二階の部屋を1994年に海生哺乳類の展示室に改装しました。

ここに展示される鯨類のレプリカも、私が作りました。




190331名護博物館10

昆虫の展示コーナーにも懐かし写真が飾られていました。

写っているのは当時職員だった佐藤保文さん(現久米島ホタル館館長)。
佐藤さんにはよく夜のやんばるの森に連れて行ってもらい、オキナワイシカワガエルを見ることもできました。

また、与那覇岳にイボイモリの幼生の調査に行き、渡された胴長の片足に穴が空いていたので、
片足だけ浸水した事件や、発見されたばかりのヤンバルテナガコガネを間近で見させてもらい、
鳥肌ものの大変貴重な体験となりました。(その後県と国の天然記念物に指定されました。)


190331名護博物館11

このやんばるの地形模型は今は亡き山城正さんと一緒に作りました。
ちなみに制作場所は羽地の田んぼの中の納屋でした。

こんなに大きな地形模型が田んぼの真ん中で作られたとは、誰も想像できないでしょうね。




190331名護博物館12

開館当初に制作されたブーブーの椅子。方圓館デザインもまだまだ健在です。
アグーなど在来家畜の保存にも力を注いでいた博物館にふさわしいデザインですね。

ちなみに博物館ではアグーの他に宮古馬や複数の琉球犬を飼育し、
この犬たちの散歩には隣の東江小学校の児童たちが積極的にかかわっていました。



190331名護博物館14

開館当初と比べると若干変わった中庭の風景。
一時パーゴラにはパッションフルーツがわさわさ成っていた時もありました。
この中庭では数々のイベントが行われました。




190331名護博物館16

収蔵庫下の赤瓦のうねうね塀は古部さん作。
現在は駐輪スペースにも活用されています。





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本館から中庭を挟んで収蔵庫がありますが、これも方圓館の設計です。

この収蔵庫、外壁のメンテナンスが滞り、ペンキがハゲていますが、
その空調機能は優秀で、ランニングコストが低く抑えれれると職員に高く評価されています。

ちなみに右の片隅二階の資料確認室と呼ばれる小さなスペースに、私は4ヶ月ほど住んでいました。


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隣の東江小学校から見た収蔵庫。
ペンキを塗らないと大切な収蔵品も守られませんよ!

ちなみに新博物館が作られた後も、この収蔵庫は活用されると聞いています。



190331名護博物館17

本館の外壁には子供達による壁画が描かれています。
この企画を先導されていた宮城一夫先生も、残念ながら先日亡くなられました。





190331名護博物館19

博物館玄関には名護親方=程順則の像があります。
この先もどうぞ名護・やんばるを見守ってくださいね。

なお、新博物館(仮称)は2022年に開館予定で、情報は以下のページから確認できます。
http://www.city.nago.okinawa.jp/museum/2018090500209/

新しい博物館も気になりますが、現名護博物館の今後の利用についても大変気になります。





  1. 2019/04/05(金) 15:42:06|
  2. 名護博物館
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