
4月2日 今年の1月5日から作業に取りかかった帆かけサバニ公開造船も、おかげさまで進水式を迎えました。

お神酒には名護やんばるの水で造られた泡盛と、今回のサバニの材料である飫肥杉と同じ銘柄の芋焼酎が準備されました。

稲嶺名護市長からは、サバニが浮かぶ名護湾を一緒に作って行きたいという力強いお祝いの言葉を頂き、
造船中にその作業を見学されたこともあり、訪れた人にこのサバニついて、うれしそうに自ら説明されていました。

今回このサバニの制作を発注された佐藤さんは、この日が楽しみで興奮して眠れなかったと、子供のようなキラキラした目で話され、
多くの方のご好意で公開造船が実現できたことに、感謝の言葉を述べられていました。

そしてこのサバニを造ったマコトと武林さん。
サバニは目的に応じて、また地域によってバリエーションがあること。造船行程も糸満と八重山では違うこと。
そして100年後はその時代の要求に応じて違うかたちのサバニが出現しているのではと、
サバニの多様性と進化について語っていたのが印象的でした。

そして進水式に入りました。
進水式も糸満と八重山ではやり方に違いがあるそうですが、今回はマコトが造船技術を学んだ八重山式で行なわれました。

今回この帆かけサバニ公開造船の監督・責任者であるフーカキサバニ代表の森さんは、
3ヶ月の製作期間を経て進水式の日を迎え一仕事を終えたと思われるでしょうが、
このサバニを今後どのように活かして行くかがむしろ重要で、
今日の進水式は、この「遥龍」号を使ってサバニ文化を広めて行くそのスタートラインに立つ日であると語っていました。


そしていよいよ海に浮かべます。
森さんは「産湯に浸かる」と表現していました。

サバニは海に浮かべてはじめてその性能が確認できるので、
単船の状態で一周りし戻って来たマコトは、やっとほっとした顔になりました。

続いて帆を揚げて走らせます。
ちなみに今回ここ名護でサバニが造られたのは、およそ60年ぶりだそうです。
名護湾もきっと祝福してくれていると思います。

今度はアウトリガーを付けて走らせます。
アウトリガー付のサバニは初心者の人にも安心して乗ってもらえるので、
多くの人にサバニを体験して頂くのに、大変有効です。


今回の進水式には多くの方が集まってくださいました。
多くの人に祝福されるって、とてもすばらしいですね。
遥龍号とサバニ公開造船に携わった全てのみなさま、 おめでとうございます。
スポンサーサイト
- 2017/04/03(月) 12:12:00|
- サバニ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0

3月19日 ワトコによる塗装も終え、サバニ本体はほぼ仕上がり、

マストの制作に入りました。

3月23日 アウトリガーを取り付けるための横棒の加工も進んでいます。

3月28日 そしてこれがそのアウトリガー。
サバニを一周り小さく細くしたかたちになりました。

3月30日 マストも出来上がり、マストを固定するハイウシミーの穴開け作業に入りました。

そして最後に名入れ。
この船のオーナーさんが経営される会社名と同じ音の「はる」から「遥龍」と命名されました。
明後日4月2日は、午前9時から名護21世紀の森ビーチで進水式、10時から無料体験乗船会があります。
どんなサバニに仕上がったのか、海に浮かんだ姿を見るのが楽しみです。
- 2017/03/31(金) 12:17:15|
- サバニ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0
ちょっと忙しくて、ブログに手が回りませんでしたが、今日から再開します。

2月24日 サバニ前後の上部に設置されるカンダンの制作です。

2月27日 カンダンは外れないよう竹クギをハの字に打って固定されました。

後のカンダンはこんな感じに。


3月1日 カンダンの上にヤラブ(テリハボク)の材で制作したカブイがつきました。
このカブイは取り外し式になっており、メンテナンスでサバニをひっくり返す時など、
必要に応じて外せる仕様になっています。

3月3日 マストを支えるウシカキもヤラブ材で制作し、ちょっと上品なサバニに仕上がってきました。

3月9日 ナカユクンツーにアウトリガーの横棒を固定するので、その前に接するナカザシカ(座板)の角は、
アウトリガーの横棒の固定に使うゴムを通すための隙間が設けられています。

そのナカユクンツーはとても丈夫な釣り糸のアカナーを使い、きっちりと固定されました。

ちょっと上品な顔つきです。

このサバニはアウトリガーを使用するので、ナカザシカ(座板)の高さも、楽な姿勢で漕げるよう最も高い位置にセットされました。

隣りのスペースでは森さんがサバニをベースに、サバニ+ヨット+カヤックというトリプル・ハイブリッドな船を制作中です。
どんな性能を発揮するのか、こちらの完成も楽しみです。
- 2017/03/13(月) 22:25:18|
- サバニ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0
2月19日

内側のフンドウ作業は、苦しい姿勢を強いられますが、

そんな作業から造り出されたフンドウが並ぶ光景は、とても魅力的です。


ヒーサキ(船首)側のトウイシを造り終え、トゥム(船尾)側のトウイシを造りに取り掛かりました。

この材料で三角形の部材が造られますが、想像以上に分厚い材料です。
木取りの作業は見届けませんでしたが、おそらく長方形の部材をホームベース型に切って、
残った二つの直角三角形の部材を角に使用し三角形を造ったと思われます。

部材が粗方出来たら、合わせノコの出番です。

このあとセンターの厚い部分にロープを通す穴が開けられました。

部材が仕上がったら、接着され、カスガイで固定されました。
クランプが使用できない場所でも、カスガイを使用すれば圧着も可能です。

接着剤が硬化するまでの間、左右の舷側板とトウイシとを固定するダボを準備しました。
このダボはチャーギ(イヌマキ)製で、左右の舷側板を貫通するように入れられます。

見たことも無いような長いビットで下穴を開け、

ダボが打ち込まれます。

ダボは手元側にテーパー付け抜けないようやや太く造り、
先端側は竹のクサビを舷側板の繊維に直交する方向に打ち込み、
舷側板が外れないよう造作されました
また、ダボは左右交互に入れる方向を変え、
より確実に舷側板を止める工夫が施されています。

トウイシ造りと並行して進めた内側のフンドウ作業を終え、
つぎに舷側板の上部の面を水平にする加工に取りかかりました。

定規に見立てた角材を舷側板の上部に当て、左右の水平を見ます。

水平が取れたら、舷側板の上部内側にウチグマーを入れます。
ウチグマーは細い部材で、舷側板内側の縁を保護する役目と、
サバニを持ち上げる時の持ち手の役割を果たしますが、
舷側板の内側に突っ張るかたちで入ることにより、船のねじれを軽減させる効果もあるようです。
ウチグマーに竹クギをハの字に打ち込み、持ち上げても外れないよう固定されました。
※ 作業について正確に聞き取れていない部分もあると思いますので、間違いがありましたらご指摘ください。
- 2017/02/25(土) 09:22:13|
- サバニ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0
2月14日 スクジー(船底)その6

竹クギは打ち終えると、余分な部分はすぐに切り落とされました。

そして休む間もなく、次のフンドウの作業に取りかかります。

はじめにフンドウを部材の継ぎ目に当て、鉛筆で輪郭を罫書きます。
基本的にはフンドウのくびれ部分を継ぎ目に当てますが、写真の部分のように部材にフンドウが入る厚みがない場合は、
フンドウをずらして入れていました。

次に罫書いた線を目安にノミを入れ穴を彫り、

穴を彫り終えたら、フンドウ側の面を取り、
防腐効果のあるサバアンダー(サメの油)を付けて穴に当て軽くたたき入れ、

最後にフンドウに当て木を当てて、フンドウが穴の底に着くまでしっかりたたき入れます。

角部分は少し厚めのフンドウを入れます。

フンドウが切り落とされる前の様子は、竹クギの時と同じように彫刻作品のようにも見えます。


フンドウを切り落としたらサンダーで表面を整え、

外側の面が整ったところで、ようやくサバニをひっくり返しました。
ここまで来ると、海に浮かべた時の様子も目に浮かびますね。


ここからスクジーの内側の削り作業に入りました。

それと同時にヒーサキ(船首)部分のトウイシ造りにも取りかかりました。


これからしばらく腰に負担の掛かる作業が続きます。
- 2017/02/20(月) 07:56:18|
- サバニ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0
次のページ