名護・自然観察日記

名護で出会った生きものを中心に紹介します。

2017年 ジュゴン食性調査

170626講習会2

今年も北限のジュゴン調査チーム・ザン主催のジュゴン食性調査を行ないました。

調査を始める前に、まず初心者のための講習会を実施。





170626講習会5

ジュゴンの食べ物である海草の同定方法を学習しました。

海草は全部で7種類。しっかり頭に入ったかな?





170626講習会9

陸上で同定が出来るようになったところで、実際に海の中でトレーニング・・・っと思ったのですが、







170716赤土2

海底には赤土が!







170626講習会8

先月6月の降雨量は平年の2倍を越え、海草藻場は赤土の流入で酷い状態になっていました。







170626講習会12

当日は大潮だったため、その後時間と共に潮が引き、歩いてジュゴンの食み跡を観察することができました。







170704調査1

さて調査の本番。
まずはベテランさんからアドバイスを受けながら、データを記録しました。






170704調査3









170704調査4

今年は海水温が低く、調査を始めた7月初旬は水温が24℃を下回る日も有りました。







170704マガキガイ

海草を見ながら海底を調べていると、ティラジャー(マガキガイ)がとても多いことに気が付きました。







170705調査1

こちらは毎年糸満から助っ人として来てくれる60代後半の海人さんですが、
測線を引かせたらピカイチで、毎年非常に助かっております。(深謝)






170711珪藻

今年は6月に雨が多かったと書きましたが、赤土の流入以外にも写真のような影響がありました。
これは海草に付着した珪藻です。大雨で海域に大量の真水が流入し、また梅雨明け後も真水は湧水となってしみ出し、
結果このように陸に近い場所では、藻場が珪藻で覆い尽くされ、被度判定の大きな障害となりました。





170714オオウミヒルモ

これはジュゴンが好むと言われているウミヒルモのなかま、オオウミヒルモ。
葉の長さがなんと35mmもありました。
そしてその近くには、






170716食み跡1

10mをゆうに超える立派な食み跡が!







170716食み跡3









170716食み跡2









170716食み跡7

今年は同じ調査方法を採用した過去5年間で、食み跡面積が2番目に多い結果となりました。







170716食み跡6

赤土の堆積の問題もありますが、とりあえずジュゴンの無事が確認され、ほっとしました。






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  1. 2017/07/24(月) 22:29:53|
  2. ジュゴンの食み跡
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ジュゴンの海 その6

170527干出藻場1

今年も春の大潮に合わせて、ジュゴンの海を歩いて来ました。
この辺りの本日の最低潮位は-17.1cm! いい感じです。






170527干出藻場8

今が旬のモズクも、ボウバアマモやリュウキュアマモと一緒に干出していました。







170527干出藻場7

大潮の干潮時に天気がよいと、干出した海草の葉が黒く枯れますが、
今日は適度に雲があり、その心配もなさそうです。






170527干出藻場4

ウミヒルモよりも一周り大きなオオウミヒルモは、砂地にすくっと立っていました。







170527干出藻場5

ヒザ下まで浸かりながら藻場を歩いていると、イボハタゴイソギンチャクの中にアカホシカニダマシを見つけました。
アカホシカニダマシはカニの姿に似たヤドカリの仲間。イボハタゴイソギンチャクと共生関係にあります。






170527干出藻場2

本日のお目当てはこれ。ジュゴンの食み跡です。
普段は泳がなければ観察できないこの食み跡も、今日は歩いて観察できます。






170527干出藻場3

ジュゴンは海草を地下茎ごと掘り起こして食べるので、
食べ跡はこのように砂地が筋状に露出します。






170527干出藻場9

筋状に砂地が白く露出している部分は、全てジュゴンが海草を食べた跡です。







170527干出藻場10

今回は干出したシーグラスベッドにも、ジュゴンの食み跡を沢山確認するこよができました。







170527干出藻場12

ジュゴンの食べ跡はこのように溝状になるので、
英語ではジュゴントレンチ = ジュゴンの溝と呼ばれています。






170527干出藻場11

溝は深いものでは4cmにもなるので、ジュゴンが集中的に海草を食べた場所は、この様にぼこぼこになりますが、
ジュゴンの食事で海草藻場は適度に撹乱され、生物多様性にも貢献していると思われます。






170527干出藻場13

潮が満ち始めると、溝状の食み跡の中に海水が流れ込んできました。
もう少し粘って、海水で満たされた食み跡の写真を撮りたかったのですが、
これ以上ここに留まると、岸まで歩いて渡る途中でパンツが濡れそうだったので、諦めて戻ることにしました。

案の定沿岸トラフは川のような流れで、足が取られそうでした。



170527干出藻場14

浜に戻るとグンバイヒルガオが力強く咲いていましたが、
その奥で移入種のモクマオウが着々と成長し始めたのが気がかりです。














  1. 2017/05/27(土) 19:18:23|
  2. ジュゴンの食み跡
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ジュゴンの海 その4

160606干出海草2

昨日は一年で日中最も潮が引く大潮でした。
つまり、ジュゴンの海を歩いて観察できる数少ない日。
そこで、干潮の時間にあわせてジュゴンの海を歩いてきました。






160606干出海草

これはジュゴンの餌となる海草。
花が咲き種を作る種子植物で、かつて陸上で暮らしていた植物がが海に進出した仲間。
ジュゴンがかつて陸上生活から海に帰ってきたのと同じように、進化の過程を辿ってきた植物です。

ジュゴンはこの海草だけを食べるので、運命的な関係にあるといえそうです。




160606食み跡1

そしてこれがジュゴンが海草を食べた跡。
ジュゴンは海底に着いて前進しながら海草を地下茎ごと食べるので、
海底には海草を食べた跡が帯状に残ります。
これを「食み跡」とか「ジュゴントレンチ」と呼んでいます。




160606食み跡2

この日も30〜40本程度の食み跡が確認できました。








090426食み跡3

この写真は昔撮ったものですが、男の子が見ているのがジュゴンの食み跡です。

このようにジュゴンが辛うじて棲める海が、名護市には残っています。
ちなみに、現在日本でジュゴンが確認されているのは、名護市に隣接する東西の海だけ。

この海に絶滅に瀕したジュゴンが生き残っていることは、それだけ豊かな自然が残されている証しでもあります。

このようなわずかに残された豊かな海を潰して、戦争を行なうための基地を作ることは、
愚か極まりないことだと思います。





  1. 2016/06/07(火) 09:05:24|
  2. ジュゴンの食み跡
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ジュゴンの海 その3

160115食み跡4

ようやく風が納まり、海のコンディションも期待で来そうだったので、
ジュゴンの生存を確認すべく、食み跡のチェックに行ってきました。

海に入ると期待とは裏腹に、海面近くに濁った真水の層があり、視界は不良でしたが、
ジュゴンの食み跡は驚くほど沢山あり、ジュゴンの生存をしっかりと確認することができました。



160115食み跡1

水の濁りは沖に行くほど弱まり、視界が晴た海の草原には、長くて見事な食み跡が横たわっていました。







160115食み跡2









160115フデノホ

沖縄の冬の海は、夏には見られない藻類が姿を見せます。
これは緑色が鮮やかで愛らしいフデノホ。

その間に番傘が開いたように見えるのが、これまたかわいいカサノリです。




160115食み跡3









160115アオヒトデ

海の草原にはアオヒトデもお目見え。
近くで見ると・・・ほぼエイリアン。






160115食み跡6

食み跡の中には、つい最近ジュゴンが食べたことを示す還元層の砂が露出したものもありました。







160115食み跡10









160115クロガシラウミヘビ

食み跡を撮影している目の前をクロガシラウミヘビが横切りました。
コブラ毒を有するウミヘビ類はあまり人を恐れないため、格好の観察対象になります。






160115食み跡7

これも奥まで続く長い食み跡です。







160115スイジガイ

食み跡を探して泳いでいると、スイジガイを見つけました。
スイジガイを見つけるとうれしくなり、つい拾い上げて眺めてしまいますが、
同じスイショウガのなかまのクモガイを見つけても、手が伸びないのはなぜでしょう。






160115食み跡13

本日は2時間ほど泳ぎ、150本以上の食み跡が確認できました。

この海域の海草藻場は、長年ジュゴンが継続して利用してきた重要な餌場です。
安定したこの海草藻場に手を加えることは、けしって許されるものではありません。

この海草藻場を改変することは、絶滅が危惧される日本のジュゴンを殲滅させる行為に他なりません。





  1. 2016/01/16(土) 22:09:49|
  2. ジュゴンの食み跡
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ジュゴンの食み跡

150817_8

北限のジュゴン調査チーム・ザンでは、毎年名護市のとある海域でジュゴンの食性調査を行なっています。
(調査の様子はこちら → 北限のジュゴン調査チーム・ザン ブログ

先日の調査では多くの食み跡が確認出来たので、改めて同じポイントへ行き写真を撮って来ました。




150817_9

海草は、ウミヒルモ、リュウキュウスガモ、ベニアマモ、リュウキュウアマモ、ボウバアマモ、ウミジグサ、マツバウミジグサの7種。
特にベニアマモの比率が高い藻場です。






150817_10

底質が礫分の少ない柔らかい砂のため、ジュゴンは大好きな地下茎を思う存分食べ、
その結果食み跡がくっきりと残り、まるでナスカの地上絵のようでした。

ジュゴンは海草を地下茎ごと食べるため、地下部が食べやすい底質の柔らかい藻場を餌場として選択しています。




150817_11

底質が柔らかいと海草を効率よく食べることができ、一回の呼吸で長い食み跡を作ることになります。







150817_13

私は1998年から複数の場所でジュゴンの食み跡を確認してきましたが、毎年継続して確認出来たのはこの海域だけです。

これはこの海域の海草藻場が健全な状態にあるばかりでなく、ジュゴンが好む餌場の条件(地形、底質、人間活動など)
を兼ね備えた、数少ない貴重な海域であることを示しています。




150817_6

しかし、こともあろうに沖縄防衛局が設置した普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会では、
この貴重な海域に人工的な藻場を造成することが検討されています。

これは、辺野古の新基地建設現場にジュゴンが近付かなくてすむように、
現在ジュゴンが既に餌場として利用しているこの海域に新たに藻場を造成するというものです。

この提案は絶滅に瀕する日本産ジュゴンの存続に重大な影響を与える危険性があることから、
今年の4月、ジュゴンネットワーク沖縄と北限のジュゴン調査チーム・ザンから沖縄県に対して、造成の許可を出さないよう要望書を提出しました。


150817_7

要望の理由は

・人工的に造成された海草藻場で実際にジュゴンが採餌したという事例はなく、
そのような不確実な実験を絶滅に瀕するジュゴンが安定的に利用してきた数少ない餌場で行なうことは、
日本産ジュゴンの存続に重大な影響を与える危険性があること。

・提案されたヤシマットを利用した海草の移植は、海草を地下ごと食べるジュゴンの食性を理解しておらず、
そのようなジュゴンが利用出来ない造成藻場が広がれば、いずれジュゴンはこの最後に残された安全な採餌場を放棄せざるを得なくなる危険性があること。
(この海域はジュゴンを混獲するおそれのある定置網漁、刺網漁が行なわれておらず、ジュゴンにとって安全な海域でもあります。)

・藻場の造成の前例となる泡瀬干潟で行なわれた海草の移植について、
中城湾泡瀬地区埋め立て事業の環境保全・創造検討委員会第二回会合で海藻草類専門部会座長野呂忠彦委員(鹿児島大教授)は
「移植によって藻場が保全されるとは考えていない、このまま評価書に書いてあるというだけで突き進めば取り返しのつかないところにいく」と述べていること。
(2007年3月14日琉球新報)

・沖縄の海藻草類を研究されてきた当真武氏は、自らの著書「沖縄の海藻と海草」の中で、
泡瀬干潟に海草藻場が大規模に存在する理由を地形と潮流の関係から解説している通り(156p)、
海草は生える環境には既に生えており、生えない環境に植えてもいずれ姿を消し、人為的に面積を増やすことは非常に困難であること。
また、海草の定着に重点を置き、波の影響を低減させる囲い等を設置すれば、増々ジュゴンを遠ざける結果になること。

などが挙げられます。

150817_5

ジュゴンがどこで海草を食べるかは、ジュゴンが決めること。

また、海草は生える場所には既に生えており、人間の都合で人為的に操作することは愚かなこと。

人間に唯一出来ることはジュゴンが安全に棲める場所を残し、海草がこれ以上減らないよう環境を守ることだけだと、肝に銘じなければいけません。










  1. 2015/08/21(金) 12:45:32|
  2. ジュゴンの食み跡
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Author:細川太郎
名護に住み、身近な自然のすばらしさに日々感謝しています。宝物は意外と自分の足下にあるものです。

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