名護・自然観察日記

名護で出会った生きものを中心に紹介します。

2016年秋期 アカハラダカ・サシバの渡り まとめ

161106サシバ幼鳥
                                                   2016年11月6日 サシバ幼鳥
さて、タカの観察はまだ継続していますが、アカハラダカとサシバの渡りもほぼ終了したので、
2016年秋期のアカハラダカとサシバの渡りをまとめてみました。


まず名護博物館のブログ「日々なごはく。」に、2016年秋のアカハラダカ・サシバ渡り調査の中間報告がアップされましたので、
是非ご確認下さい。  →  日々なごはく。

この中間報告にもあるように、今年の名護岳におけるアカハラダカとサシバのの飛去数は 過去最高を記録しました。
また、同時に行なった嘉津宇岳の飛去数を加えた名護の飛去数も過去最高となりました。

アカハラダカ名護経年変化




● アカハラダカ
名護ではアカハラダカの飛去数が過去最高を記録しましたが、アカハラダカをカウントする他の観察地の記録は以下の結果となりました。

長崎県対馬内山峠  44,533    
長崎県 烏帽子岳  19,790    
鹿児島県奄美大島   6,401    
沖縄県名護岳    15,877    
台湾墾丁      127,495    

名護の記録を見る限りアカハラダカの個体数は増えたように見えますが、
名護はアカハラダカの経由地の一つにすぎず、個体数を分析する地域としては適当ではありません。
そこで、アカハラダカの最大の中継地である長崎県対馬内山峠と、
ユーラシア大陸東部で繁殖する個体群も合流する台湾墾丁の飛去数の経年変化を見ると、以下のようになります。

アカハラダカ経年変化

近年の数値を比較すると増えた年も減った年もありますが、2004年と2016年の数値を比較すると、
この12年間に個体数が激減したのが分かります。



● サシバ
サシバもアカハラダカ同様、名護は経由地の一つにすぎず、個体数を分析する地域としては適当ではありません。
そこで記録が公表されている国内最大の中継地である宮崎県金御岳と沖縄県宮古島、
およびユーラシア大陸東部で繁殖する個体群も合流する台湾墾丁の経年変化を見ると、以下のようになります。

サシバ経年変化

台湾墾丁の数値はやや右上がりで個体数が増えたように見えます。また、宮崎県金御岳の数値を見ると個体数に大きな変化は見られません。
しかし、宮古島の野鳥HPによると、宮古島(伊良部と平良の合計)における過去の記録は、1980年に54,000羽、
1985年に47,000羽であることから、日本で繁殖する個体群は過去30年間に激減したことが伺えます。



● 名護岳の分析結果
タカの渡りは天候に大きく左右されます。そこで今回の調査期間中(9月8日〜10月31日)の天候を振り返ると、

・北風の吹き始めが例年より遅かった。
・沖縄島の台風の通過は無かったが、沖縄島の南の海上を西に進んだ台風14号、17号、
 時計回りに沖縄島の周りを遠巻きに移動し、風の影響を長期間及ぼした台風16号。
 沖縄島をかすめ西の海上を通った台風18号などの影響を受けた。
・10月10日前後に奄美・沖縄地方で前線が停滞した。
・10月13日から北風が吹き始め、雨も少なかった。

その結果、全体として
・北風の吹き始めは遅かったが、10月後半から北寄りの渡りに適した天候が続いたため、
 アカハラダカとサシバの渡り始めは遅く、渡りの終了は早かった。
・台風の風の影響は多かったが、雨で観察できない日は比較的少なかったため、カウント数が伸びたのではないか。

アカハラダカ
・渡りの前半は雲の量が多く、風向きなど渡りに適した天候の日が少なかったため、アカハラダカは一気に渡れず移動に時間が掛かた分、
 観察者の目に触れる機会が増え、カウント数が増えたのではないか。
・名護岳の飛去数が嘉津宇岳と比べ多かった要因は、風向が東寄りの日が多く、アカハラダカの進路が東寄りになったためではないか。

サシバ
・例年と比べ飛去数が増えたのは、観察時間帯を昼ころまで伸ばした日を設けた結果であり、調査時間の変更による影響が考えられる。



アカハラダカにとって名護は経由地の一つにすぎません。
またサシバにとっては、経由地の一つであり一部の個体の越冬地です。
タカを含む旅鳥にとって経由地は、ほんの一時を過ごす場所ですが、繁殖地と越冬地をむすぶ重要な場所でもあります。
経由地に求められる環境は、水や餌が確保できるか、安全に休める森や草原、湿地があるかなどなど。
繁殖地、越冬地、経由地は、それぞれ地元が守って行く他ないのですから、
アカハラダカやサシバがこれ以上減らないよう、地元名護の環境を守りたいと改めて思いました。



※ 各地のデータは以下のサイトから引用しました。 ありがとうございました。

対馬野鳥の会 アカハラダカ秋の渡り
長崎秋期タカの渡り速報20116
群島鳥類研究会 アカハラダカ調査2016
2016年(Autumn)秋期 名護岳タカの渡り調査記録
宮古島の野鳥
台湾猛禽研究会




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