名護・自然観察日記

名護で出会った生きものを中心に紹介します。

ジュゴンの海 その1

国は沖縄県民の民意を無視し、およそ環境アセスとは呼べないでたらめなアセスを根拠に、環境破壊が明確な辺野古基地建設を強引に開始しました。
1月28日朝には、とうとう大型クレーン船から浮具を固定するための数十トン規模のコンクリートブロックを投入してしました。

日々、それも着実に辺野古の海が壊されて行く中、近隣のジュゴンの餌場が心配になり、昨日29日に確認しに行って来ました。

私はこの海域で1998年から継続的にジュゴンの食み跡を確認していますが、
ここは現存する日本産ジュゴンにとって、もっとも重要な餌場だと考えています。(故に地名は伏せさせて頂きます。)


150129食み跡1

海に入ると早速食み跡を確認。ひとまずほっとしました。
この辺りは6種類の海草が生える、比較的被度が高い藻場です。




150129食み跡6

その直ぐ横にはジュゴンが海草を密に食べた跡もありました。
ジュゴンは大好きな海草ウミヒルを食べるために、パイオニア種というウミヒルもの性質を利用して、
同じ場所で海草を繰り返し採餌することによって、効率よくウミヒルもを得る耕作的採餌?を行なうことが知られています。



150129オオウミヒルモ

これがそのウミヒルモの仲間のオオウミヒルモ。
丸い葉がかわいい愛らしい海草です。





150129食み跡2

沖縄は台風の通り道に位置するため、大型の台風が接近する度にジュゴンの餌場である海草藻場も撹乱されます。
この海域でも過去に大きな台風が直撃し、波浪による砂の移動で海草藻場が大規模に埋まり、
ジュゴンが採餌できない状況が作られたことがありました。
台風による撹乱が比較的少なかったこのポイントは、その後利用頻度が高くなりました。



150129オキナワモズク2

辺りを見回すと天然のモズクが生えていました。
今年は生育状態がいいようです。





150129食み跡3

しばらく行くと比較的新しい食み跡がありました。
食み跡の状況から、おそらくほんの数日前に食べた跡だと思います。





150129イソスギナ

沖縄の冬の海に姿を見せるイソスギナもありました。






150129カサノリ

そしてこちらも冬のイノーで見られるカサノリ。
小さな番傘をひっくり返したような形がかわいい緑藻類の仲間で、
奄美大島から八重山諸島に分布する日本固有種です。




150129食み跡5

この食み跡は周りの砂と比べやや青味がかっています。
これはジュゴンの採餌によって砂が掘り起こされ、地下にあった還元層が露出したためです。
ジュゴンは海草を地下茎ごと掘り起こして食べるので、食み跡にはしばしばこの還元層が確認出来ます。
海底は波や流れで撹乱され砂は移動し、また酸素にも触れるので、この還元層が確認出来る状態の食み跡は、比較的新しいものと判断出来ます。



150129マイクロアトール

これはハマサンゴのマイクロアトール。
ここは生きたサンゴも点在する、健全な海草藻場です。





150129魚

海草藻場の中のサンゴは魚たちの絶好の隠れ家となり、その結果魚も豊富です。






150129食み跡7

こちらはジュゴンが気の向くまま採餌した結果、複雑に交差した食み跡が残ったようです。

新聞報道によると、沖縄防衛局が設置した環境監視等検討委員会では、
ジュゴンが埋立区域に近付かないよう、この海草藻場の造成も提案されていたと言うことですが、とんでもない話しです。

そもそも沖縄島の海草藻場の分布が東海岸に集中しているのは、沖縄島の向きが真北ではなく時計回りに傾いているため、
東海岸は西海岸に比べ冬場の強い北風の影響を受けにくいからという説があります。
また東海岸のこの海域では、岬に守られた場所では海草藻場が安定し、潮通しのよい場所では台風の影響も受けやすく変化が激しい傾向があります。
さらに海草藻場の生育は、陸地からの湧水の恵(栄養塩、地下温度の安定など)に大きく影響を受けているとも言われています。

つまり、海草は生える環境には既に生えているし、生えない環境に植えても育つことが出来ないと言うことです。
そんな自然のバランスで成立している海草藻場を人間が「造成」とは、人間の技術を過信するのもいい加減辞めて頂きたい!
実際、海草の移植で成功した亊例は皆無だし、むしろ移植先の環境を撹乱する問題が生じているのです。

この海域での海草藻場の造成は、それこそ何万年もジュゴンが利用してきたであろうこの海草藻場を台無しにし、
日本産ジュゴンの絶滅を加速させるだけだと断言します。


150129食み跡9

帰り際、長くて新しい食み跡を見つけました。10m以上はある食み跡です。
よほどここの海草が美味しかったのでしょうか。何分も息をこらえて夢中で食べたのでしょうね。





150129食み跡8

どこで海草を食べるかはジュゴンが決めること。
名ばかりの環境対策によって日本産ジュゴンの重要な餌場を破壊するのは止めて頂きたい。
絶滅が危ぶまれるジュゴンに対して人間が出来ることは、棲息地に危険な漁具を置かず、これ以上棲息地を壊さないことだけなのですから。



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  1. 2015/01/30(金) 12:27:18|
  2. ジュゴンの食み跡
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